NSiSは、改良アデノウイルスベクターとiPS細胞由来のヒト細胞を組み合わせた独自の完全ヒト型タンパク質プラットフォームを構築しています。ヒト型O-/N-糖鎖修飾、ネイティブなフォールディングと複合体形成、エンドトキシンフリー、高効率発現を一つのプラットフォームで実現することで、従来のタンパク質製造法では困難であった、ヒト本来の構造と機能により近い複雑なタンパク質の創製を可能にします。その中核技術は、特許取得済み・出願中の独自技術によって保護されています。

共通ベクターとヒト細胞を組み合わせた独自のプラットフォーム

NSiSのプラットフォームは、iPS細胞由来のヒト細胞をホストとし、Ad5/F35キメラアデノウイルスベクターを用いて目的タンパク質を発現させる独自のシステムです。ベクターを共通化しながら、目的とするタンパク質に応じてホスト細胞を選択できることが大きな特長です。これにより、ヒト細胞本来のタンパク質合成・修飾機構を活用した、迅速かつ再現性の高いタンパク質創製を可能にします。

共通ベクターシステム

Ad5/F35ベクター

共通発現ベクター

選択可能なヒト由来ホスト細胞

ヒト由来ホスト細胞

iPS細胞由来;目的タンパク質に応じて選択

目的タンパク質

完全ヒト型
タンパク質

生体内に近いフォールディングとヒト型翻訳後修飾

目的タンパク質に応じた組織特異的ホスト細胞の選択

NSiSでは、iPS細胞から外胚葉・中胚葉・内胚葉由来の異なる細胞系統へ分化させ、目的とするタンパク質に適したホスト細胞を選択することができます。神経系、血管・免疫系、肝・呼吸器系など、それぞれの組織に由来する細胞が持つ固有の糖鎖修飾、脂質環境、分泌機構などを活用することで、目的タンパク質の生体内環境により近い構造・機能の再現を目指します。

特に病原体抗原では、感染組織に対応したホスト細胞を選択することで、病原体本来の組織特異的な糖鎖や構造をより忠実に再現できる可能性があります。また、複数のタンパク質を同時に発現させ、その発現比率を制御できる特長を活かし、二重特異性・多重特異性抗体などの複雑な多鎖タンパク質への展開も可能です。

外胚葉系

神経前駆細胞

ガングリオシドに富む膜環境、神経系に特徴的な糖転移酵素

神経指向性:Nipah、狂犬病

中胚葉系

血管内皮・心筋・造血系細胞

血管内皮細胞や免疫細胞に特徴的な糖鎖・脂質環境

リンパ球・血管内皮指向性:HIV、デング

内胚葉系

肝細胞様・肺上皮細胞

肝細胞の分泌機構、気道に特徴的な糖鎖修飾

呼吸器・肝指向性:SARS-CoV-2、インフルエンザ

従来の発現系を超える可能性

大腸菌、CHO細胞、HEK293細胞などの従来の発現系と比較して、NSiSのプラットフォームは、ヒト細胞本来のシャペロンによるフォールディング、ER/Golgiを介した糖鎖修飾・シアル化に加え、従来の発現系では再現が困難であった組織特異的な糖鎖やproteoform構造の再現を可能にすることが大きな特長です。さらに、iPS細胞由来細胞を用いることで、将来のGMP製造への展開も視野に入れたプラットフォームを構築しています。

評価項目 E. coli CHO HEK293 NSiS
組織由来
NSiS
iPS細胞由来
合成と保護的修飾 ○ ○ ○ ○ ○
天然シャペロンによるヒト型フォールディング × △ ○ ○ ○
小胞体・ゴルジ体での糖鎖修飾・シアル化 × △ ○ ○ ○
組織特異的な糖鎖・プロテオフォーム構造 × × × ○ ○
GMP製造への移行性 ○ ○ △ △ ○

△ = 一部対応可能、または追加の技術開発・工程開発により実現可能。

迅速かつ効率的な製造プロセス

NSiSのプラットフォームは、クローニング、細胞株の選択、Master Cell Bankの構築など時間を要する工程を大幅に簡略化します。これにより、培養開始からタンパク質精製まで約2週間、アデノウイルスの調製を含む全工程を約3か月に短縮し、従来法と比較して最大約50倍の生産性を実現します。

NSiSの製造システム

アデノウイルスの設計・作製・精製 約60日
ヒト細胞の培養 7日
ウイルス感染・タンパク質産生 4~7日
タンパク質精製
約2週間 培養開始から精製まで

従来の製造システム

設計・準備 10~20日
遺伝子導入・感染 3日
細胞選択・クローニング・セルバンク構築 約120日
大量培養 30~60日
タンパク質精製
5か月以上 培養開始から精製まで